「アール・ヌーヴォー」と聞いて美味しそうと感じてしまうのは私だけでしょうか?
アール・ヌーヴォーの代表的画家ミュシャの展覧会が日本で開催されているので、今回はアール・ヌーヴォーとはどんなジャンルなのか見ていきたいと思います!
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どんなジャンル?
アール・ヌーヴォーのスタイルが現れ始めたのは1890年頃。
19世紀初頭の産業革命によりモノが大量生産されていた反動で、どれも同じようなものを見飽ききた人々が、自分たちの時代に合った「新しいもの」を作るんだ!と思い立ったことから、フランスやベルギーを中心に生まれました。ウィリアム・モリスが代表するアーツ・アンド・クラフツ運動の影響を受けています。
ウィリアム・モリスといえばこのようなオシャレな花模様で有名ですね。
(出典:HP「William Morris Gallery」London Borough of Waltham Forest http://www.wmgallery.org.uk/home)
アール・ヌーヴォーの意味は、フランス語でart (芸術) + Nouveau(新しい)。
ルイス・カンフォート・ティファニーやエミール・ガレ、ルネ・ラリックの作品を主に扱ったドイツ人画商がパリに開いた店名からとられた名称のようです。
因みにアール・ヌーヴォーは国によって呼ばれ方が違くて、ドイツでは「ユーゲントシュティール」、イギリスでは「モダン・スタイル」として知られています。
同時期に台頭していた印象主義やポスト印象主義と違って、アール・ヌーヴォーでは表象や感情表現よりも、外見の装飾に重きが置かれました。
その特徴は華やかさ!植物や昆虫などといった自然をモチーフにした曲線のデザインが特徴で、鉄・ガラス等の当時の新しい素材も使われました。
しかし、華やかで職人の技術によって作る必要のある曲線が特徴だったからこそ、第一次世界大戦が勃発する頃には、逆に大量生産に向かないとして、アールヌーボーは衰退していってしまいます。
アールヌーボーとアールデコの違いは?
アール・ヌーヴォーってアール・デコと名前は似てるけど特徴は全然違うんです!
アール・ヌーヴォーは曲線が特徴なのに対して、アール・デコは幾何学的な直線が用いられました。
大量生産に向かないとして衰退していったアール・ヌーヴォーに対して、アール・デコはその直線が特徴なことから大量生産向きで、且つ近代的な都市での生活にぴったりであるとして人気を博しました。
特にその中心となったのはアメリカのマンハッタンとマイアミビーチでした。
マンハッタンにあるクライスラービル・ロックフェラーセンター・エンパイアステートビルはアール・デコの象徴とも言える代表的な建築です。
アール・デコを代表する画家はこちらの絵で有名なレンピッカ(1898-1980)でした。
(出典:《緑の服の女》(1930)ポンピドゥーセンター蔵)
代表的なアーティスト
アール・ヌーヴォーは、絵画のみならずデザインや工芸品、建築にも影響を与えました。
代表的なアーティストを紹介していきたいと思います!
アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)
アール・ヌーヴォーと言えばミュシャですね。
ミュシャはポスターや装飾パネルの作品を主に手掛け、当時のパリで人気女優サラ・ベルナール主演の舞台『ジスモンダ』の宣伝ポスターで一躍有名になりました。
ポスター制作以外にも、画家時代の後半には2017年に初来日したスラヴ民族の1000年の叙事詩を絵画に描き起こした『スラヴ叙事詩』という大作の制作に取り組みました。
(出典:HP「Mucha Foundation」Mucha Foundation)
ジュール・ジェレ(1836-1932)
ジュール・ジュレもミュシャと同じくポスターで有名なフランスの画家で、近代ポスターの父と呼ばれています。
生涯で1000点以上のポスターを制作したと言われています。
(出典:HP「MOMA」《Olympia Anciennes, Mont Agnes Russes, Boulevard des Capucines》(1892)MoMA)
エミール・ガレ(1846-1904)
アール・ヌーヴォーのガラス工芸で有名なのはガレです。
ガレの作品のモチーフは植物やトンボが多く、当時の万博で東洋の芸術に触れる機会があったことから、ジャポニズムの影響も大きく受けています。
(出典:HP「大一美術館」エミール・ガレ|所蔵品|大一美術館《好かれるための気負い(Souci de Plaire)》(1889))
ルネ・ラリック(1860-1945)
ラリックはガラス工芸だけでなく特に宝飾デザイナーとして有名です。
アール・ヌーヴォーの代表的なモチーフである昆虫・植物を美しい直線で表現しており、こんなアクセサリー持ってたらつけるのがもったいない!というような素敵なアクセサリーを数々残しました。
(出典:HP「MUSEE LALIQUE」Musée Lalique《LALIQUE René, Broche Fée》(1897-98))
ルイス・コンフォート・ティファニー(1848-1933)
ティファニーってあのティファニー??
そうです、あのTiffany &Co.です。
ルイス・コンフォート・ティファニーはTiffany & Co.の創業者チャールズ・ルイス・ティファニーの息子です。
(出典:HP「Tiffany & Co.」Louis Comfort Tiffany | The Tiffany Story | Tiffany & Co.)
ヤン・トーロップ(1858-1928)
(出典:HP「Museum Villa Stuck」Museum Villa Stuck《Delftsche Slaolie》(1895))
アントニ・ガウディ(1852-1926)
ガウディがアール・ヌーヴォーに分類されるのはなんか意外でしたが、確かにガウディの建築はどれも曲線的ですよね!
ガウディはアール・ヌーヴォーに類似したカタルーニャ独自のスタイル「モデルニスモ」の巨匠と呼ばれています。
(出典:サグラダ・ファミリアだけじゃない!遊びごころ満載なガウディの世界 | TABIZINE)
アール・ヌーヴォーの作品が見れる美術館・美術展
アルフォン・ミュシャ館
https://mucha.sakai-bunshin.com
箱根ラリック美術館
http://www.lalique-museum.com
北沢美術館
http://kitazawamuseum.kitz.co.jp/index.shtml
東京都庭園美術館